市庭の観点 その1
すぎなみ社会起業家塾―イノベーションは杉並から起こす―
05年11月30日 「未来を描く」 講演「思いが生んだ介護靴」
                     (有)フェアベリッシュ 伊藤 弘美さん

1 12月14日(水) ワークショップ B 資料
 講演「思いが生んだ介護靴」 市庭の観点

1) フェアベリッシュの強み
 介護靴は、祖母と母の介護体験から生まれた発想なので事業化の視点から考えると圧倒的な強みがある、これを縦軸に

2) 講演のポイントと観点(社会教育分野の観点に沿いながら)

【流れ】

 町会・商店街などの地縁組織の存在→介護体験→こぼす→ヒラメキ・アイディア→我流の試作→工夫→周囲の意見、反応→工夫の数々→反響、共鳴を求める(一番苦しい時間)→理解者が増える(手ごたえを感じる時間で一番楽しい)→ネットワークが続々広がる(想像外の広がり)→創業の過程に入る→成功の予感

@ 地縁組織の存在
 祖母・母の介護に疲れると気分転換をしたくなる。その際、「こぼすこと」ができる気軽に立ち寄れる場所・組織があった。実家は写真屋さんであることから商店街の人々は身近な存在、商店街は極めてウェットな組織、人とのつながりが濃厚である。こぼすことで気が落ち着き、思いついたアイデアを披露するゆとりが生まれた。

課題:「こぼすこと」ができる場所・組織の有無

A 商店街という組織 その1
 結束の固い内的な組織で、「写真やさんの弘美ちゃんが介護で苦労しているよ」という情報は早い段階から伝わっていたと思われる。アイディア情報に接した人がこの考えを、肯定するのか、否定するのか、本件の場合、肯定する人がいた。

課題:事業性のある情報に接した場合、「はいはい」だけではだめ、肯定的に受け止めて本人の自発性を促す話し方と対応が必要、このような人が地域にいるのかどうか。

B 商店街という組織 その2
 商店街は斜陽傾向、個店でリスクをとる風潮は年々漸減しているように思われる。リスクマネー(創業支援金)を蓄えて勝負するときに資金を出せる組織を持つ商店街は少ないのではないか。従って公的資金を当てにすることになる。本件に場合、逆にこれが良かった。よく分からない支援者が付かなかったことから、役所は真摯に本件に対応することになる。役所の所管は産業振興方面の部局となる。自分の事業は、自分で考えをまとめて折衝する、事業案に支援者の考えを入れても良いが、自分のアイデアとしてまとめる。遠慮、妥協はビジネスとして考える場合は適切ではない。

課題:東京都中小企業振興公社の創業助成事業に第一ステップから実直に入門、知識等を習得、学ぶ姿勢。ビジネス経験を面に出さないで成功。

C ネットワークの広がり
 活動が世に出ると(特に、ビジネス系)雑多な人々が、他地域の人もボランティアに駆けつけてくる。情報の整理と人の選択とを同時にすることになる。

課題:選択能力の有無、本件の場合、兄と親友が二人いた。

D 成功の予感

 事業規模の選択

◆ 大きくするのか・・・自分の能力とモチベーションを見極める。資金・人材・設備等、今までの過程と、量・質とも段違い。小さく生んで大きく育てる施策も、この大きくする政策に入る。

◆ 中規模を目指す・・・中途半端は生き残れないので、この選択はない

◆ 小さくを目指す・・・目下、単品(介護靴の種類があっても)なので商品開発が追いつくのかの見極め

◆ 大企業が出てくるリスク・・・介護用品という比較的小さな市場なので、今は友好的な関係課題:事業家として、剛の確認


 独自性

◆ 介護・リハビリ靴の特許(商品分類 認定1号)

◆ 障害者作業所でのモニター評価

◆ 月星化成の技術

◆ 信用・東京都中小企業振興後者創業助成事業の認定 介護保険適用商品


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